石鳥谷の商店街に店を構える「染屋たきうら」は、明治42年創業。昔ながらの技法「古法 木灰水発酵建て」による藍染を今に伝える、全国でも数少ない染物屋さんです。
「木灰水発酵建て」とは、藍草を乾燥・発酵してつくる染料「すくも」を、ナラの木の灰を溶いた灰汁(あく)やふすま、石灰と共に発酵させ、その液で染め重ねる技法。
藍の色素「インジゴ」は不溶性で、すくもの状態では染まりません。ところがアルカリ性の木灰水で発酵をさせることで「還元」という化学反応がおき、水に溶け出します(これを「藍建て」といいます)。こうしてできた液に布を浸し、引き上げて空気に触れさせる(=酸化する)と、繊維に染み込んだインジゴが不溶性に戻り、色が定着する、というしくみ。先人の知恵はすごい…!
現在では、手軽に染まる合成藍や薬品を使うところがほとんどですが、「染屋たきうら」は「一度手放した技術は戻ってこない」という思いのもと、創業以来この製法を守り続けています。その功績が認められ、2015年には3代目である滝浦輝夫さんが「現代の名工」に選出されています。
確かな技法で染め上げるため洗濯による色移りがほとんどなく、洗剤も「漂白剤以外ならどれでも大丈夫」とのこと。お店では、ハンカチやスカーフなど手頃な値段のものから、ブラウスやバッグなど多様なアイテムを取り扱い。「ほんものの藍染」ならではの色、風合いに魅せられ、20年、30年と愛用し続ける人も少なくないそうです。
藍の色っこのたいしたきれんた(とってもきれいな)ごど! たきうらさんのファンは全国さいて、展示会するとどっこも大盛況なんだど。
染めたてもいいんども(いいけど)、使い込んだ風合いもまたよがんすな。いつか、たきうらさんの藍染で浴衣を仕立ててみたいもんだなあ。